母方の祖母

自分にとって悲しいことやピンチなことが起きた時

無意識に誰かに助けを求めることってありませんか?

そんな時、必ず私は母方の祖母を思います。大好きだった祖母。

今思えば、子供の頃の他愛もない、ちっぽけな出来事なのですが

その時の私にとっては、とても悲痛に感じていたのです。

お願いをしたところで、祖母が生き返って助けに来てくれるはずもないのですが

思い込みが深いのか、多少なりとも難を逃れていた記憶があります。

母の実家は、辺り一面に水田が広がる地方の田舎で

毎年夏休みの旧盆の頃になると、必ず泊りがけで遊びに行っていました。

祖母はとても優しく穏やかで、いつもニコニコしている人でした。

働き者で、もんぺ姿でほっかむりをし、早朝から野良仕事に出かけ

洗濯、朝ごはんの支度、掃除。

それが終わると畑に行ってしばらく作業をし、お昼ご飯の支度に戻ってくる。

昼ご飯をみんなで食べたら昼寝の時間。

そして、夕方までまた野良仕事。お風呂を沸かして、夕飯の支度。

働き通しで、おしゃれもせず、家族を思って生きてくれたのでしょうね。

孫の私達のことも、とても可愛がってくれました。

別の機会に、祖母が田舎から来てくれました。

私の家に泊まってから、母の末の妹のところに行くとのことでした。

その時は私も少し大人になっていたのか、泣きませんでした。

その後日、祖母が、母の妹の家で倒れたとの連絡が入ったのです。

母は、すぐに兄と私を連れて電車に乗り、駆けつけました。

祖母は布団に寝かされていました。ずっと眠っているのです。

大いびきをかいて。

脳溢血だったようです。

それから、病院に移されました。

祖母はとても苦しそうにしていて、子供ながらに心配したことを

覚えています。

何度かお見舞いに行った後、祖母は息を引き取りました。

誰にもお別れも告げずに。

私には、まだ祖母が亡くなったということを認識できたわけでは

ありませんでした。

祖母がそこに横たわっているけれど、もう祖母ではないという理解の仕方を

していました。

その後も、夏休みの旧盆は法事もかねて、家族で田舎へ行くのが

習わしになっていました。

祖父と母の弟家族が温かく迎えてくれました。

私は祖父のことも、祖母と同じように大好きでした。

祖父は、祖母とはまた違った印象で

寡黙で温厚で、食事の時はきちんと正座をして、綺麗好きで

亡くなった今でも手本にしている存在です。

小学4年生の夏休みだったでしょうか。

その年は家族の何かしらのイベントが重なり、夏休みが始まってすぐに

私だけ先に田舎に行くことになりました。

その時は、母のもう一人の妹が迎えに来てくれました。

そのまま、叔母の家に厄介になりました。

祖父の家からは、車で30分くらい離れたところです。

叔母の家庭は共働きで、一つ下の従妹がいました。

昼間はいつも二人で留守番をして過ごしました。

自分の家ではないので、かなり遠慮がちに過ごしていました。

喧嘩をしても、気持ちの切り替え場所もなく、フラストレーションが

たまる一方でした。

私の家族は、イベントごとが長引いて、予定が定まらない様子で

なかなか迎えには来てくれませんでした。

叔母たちもよく接してくれているのですが、疲れて帰るとあたりも違ってきます。

子供ながらに、申し訳ない、悲しい気持ちでいっぱいでした。

皆でフラストレーションが溜まっていたころ

いつも布団を敷いている場所に、なぜか蚊が集中して落ちてくるのです。

クーラーはありませんので、窓は開いたままです。

電気式蚊取りで弱った蚊が、流れに乗って私の布団の上で息絶えるのです。

あまりにも抵抗感があったので、叔母に訴えました。

叔母は、隣に敷いてある従妹の布団を少しずらして、と従妹に言ったところ

従妹は拒絶しました。

叔母は、仕方ないからそこで寝るように私に言いました。

嫌なのに!

でも子供の私はそれが言えず、無言で布団に横になりました。

蚊が枕元にポトポト落ちてくるのです。

泣くのを必死に堪えながら

「おばあちゃん!」

と、唱えました。

そうしたら、どうでしょう。

ぱたりと蚊が来なくなったのです。

「えっ⁈ おばあちゃん?」

偶然だったのかもしれませんが、祖母が蚊を避けてくれたのだと

子供ながらに思いました。

それからは、何か耐え難いことに遭遇すると

母方の祖母を思うようになりました。

上の息子を出産した時も、後陣痛に耐えていた時

眠っている私の足元で、野良仕事をしている祖母がいました。

心配してくれているのと、ひ孫の顔を見たいがために

来てくれたのかな、と勝手に想像しています。

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